2014年 05月 09日
毒想の 毒にさわりし 皐月の真昼
「列士」の魅力は「桃花源記」のユートピアとはまたひと味違ったユートピアが描かれていることで、例えば自然のまま生きて生の願望もなければ死の恐怖もない華胥氏の国、風を吸い露を飲んで生きる神人がいる島などが出てきますが、一番楽しいのは、世界の西南の果てにあるという「古莽の国」です。
ここは寒暑の区別なく、人々は食わず、着ず、ただ眠ってばかりいて五十日に一度目を覚まします。ところが、夢の中の出来事が真実で、わずかに目を覚ましている時のことは虚妄、幻だと思っているそうです。夢と現実が逆転しているという訳ですが、それにしてもこんなに楽しくて怠惰なユートピアには行ってみたいものです。でもこれが案外この世の本当の姿なのかもしれません。
倉橋由美子「夢幻の宴」列士より抜粋
だとすれば須田さんの「Insomnia」はどこの国か。。
須田一政Insomnia
by oharax
| 2014-05-09 10:31
| 文学
|
Comments(0)